「ジョブ型」と「メンバーシップ型」の働き方の違いを解説する【濱口桂一郎】

「ジョブ型」「メンバーシップ型」という言葉を聴いたことはないだろうか?

これは、労働法・労働政策などの研究者である「濱口桂一郎」氏の著書などで、日本と欧米との働き方の違いを説明するときに使われる言葉だ。

濱口桂一郎氏によると、

  • 欧米は「ジョブ型」
  • 日本は「メンバーシップ型」

とされているが、働き方の違いをわかりやすく表現している言葉で、日本で労働問題を論じるときに一般的に使われてすらいる。

この記事では、参考文献として著作に準拠しながらも、なるべく噛み砕いて、「ジョブ型」と「メンバーシップ型」について詳しく解説していく。

「ジョブ型」「メンバーシップ型」とは?

濱口桂一郎氏は、

  • 欧米企業に多く見られる働き方を「ジョブ型」
  • 日本企業に多く見られる働き方を「メンバーシップ型」

と説明している。

「ジョブ型」と「メンバーシップ型」という言葉を使うと、日本と海外の働き方の違いを、シンプルにわかりやすく説明することができる。

  • 「ジョブ型」は、「仕事」が先にあり、後から「人」を集める。
  • 「メンバーシップ型」は、「人」が先にあり、後から「仕事」を割りふる。

 

 

  • 「ジョブ型」の欧米では、「何の仕事ができるか?」が重視される。
  • 「メンバーシップ型」の日本では、「どこの会社に所属しているか?」が重視される。
  • 「ジョブ型」は、必要なときに、必要な資格、能力、経験のある人を、必要な数だけ採用するという「欠員補充」の発想
  • 「メンバーシップ型」は、人を会社に所属させ、必要な仕事に対応させていくという「入社」の発想

 

以降は、「ジョブ型」と「メンバーシップ型」について、どのような社会構造で、どのような働き方で、それぞれどんなメリットやデメリットがあるのかを、それぞれのトピックに分けて解説していく。

 

「メンバーシップ型」の社会

日本で働いている人は、「メンバーシップ型」の社会がどのようなものが、実際に体験しているので良く知っているだろう。そして、欧米(あるいはグローバルスタンダード)に見られるような「ジョブ型」の働き方とのギャップを感じている人も少なくないだろう。

現時点でもなお、日本人は「会社の名前」で判断されることが多い。

「職種」を限定して人を雇っているわけではないので、「どこの企業で働いているか?」が重要なステータスになる。

「メンバーシップ型」は、「人材の流動性が低い(企業間の人材移動が少ない)社会」であり、「いま所属している会社でずっと働き続けるのだろう」と思われる場合が多い。

「メンバーシップ型」においては、「正社員かどうか?」が、待遇を分ける決定的な要素になる。メンバーシップ型の権利を享受できるのは「正社員」のみであり、正規と非正規の間に大きな格差がある。

たとえ同じ仕事をしていても、正社員(メンバー)と非正規(非メンバー)では待遇が異なるのが、「メンバーシップ型」だ。

また、同じ「正社員」という枠組みでも、潰れにくいと見なされている「大企業正社員」かどうかが重要になる。

 

「ジョブ型」の社会

「ジョブ型」の社会では、「企業名」はそれほどステータスにならない。「いま所属している会社でずっと働き続けるのだろう」と思われない場合が多いからだ。

「ジョブ型」において重要なのは、「職種」だ。

「メンバーシップ型」社会に生きる日本人からすると、「同じ企業の正社員なら同じような待遇」という感覚があるが、「ジョブ型」社会では、たとえ同じ企業で働いていたとしても、「職種」が違えばまったく待遇が違う。

例えば、同じ企業に所属する社員だったとしても、管理職か、事務職か、単純作業かで、働き方がまったく異なる。

「人材の流動性が高い(企業間の人材移動が多い)社会」である一方、「職種」を変更することは難しい。つまり、「職種の流動性が低い」

「メンバーシップ型」の場合、配置転換によって様々な職場を体験しながらキャリアアップする慣行になっているが、「ジョブ型」の場合は、社員の「職種」の変更があまり起こらない。

そのため、「何の職務を担っているか?」が待遇を決定づける要因になり、そこに格差が生じる。

 

以上をまとめると

  • 「会社」が変わりにくく、「職種」が変わりやすい……「メンバーシップ型」
  • 「職種」が変わりにくく、「会社」が変わりやすい……「ジョブ型」

となる。

  • 「メンバーシップ型」の日本は、「人材の流動性が低く、職種の流動性が高い」社会
  • 「ジョブ型」の欧米は、「人材の流動性が高く、職種の流動性が低い」社会

 

 

「メンバーシップ型」の働き方

人材の流動性が低い「メンバーシップ型」は、会社を辞めにくく、辞めさせにくい。

「メンバーシップ型」は、「新卒採用」の時期に社員を募集して、「年功序列」で給料が上がっていく仕組みになっている。

労働者は、「新卒採用」の時期が最も採用に有利で、さらに「勤続年数による年功昇給」で給料が上がっていくので、転職をすると不利になりやすい。

使用者(企業)側も、労働者を辞めさせたいと思っても、日本の判例法理では、解雇条件が非常に厳しく、いちど雇用した正社員のクビを切ることは簡単ではない。

日本では、仕事ができない労働者のクビを切ることは、かなり難しい。

  • 労働者は、会社を辞めにくい
  • 企業は、労働者を辞めさせにくい

 

「メンバーシップ型」は、「社員は会社に忠義を尽くし、会社もそれに応じる」という、「企業」と「社員」が運命共同体になるような働き方とも言える。

日本企業の特徴に、「人事権の強さ」がある。

日本企業は、社員に「配置転換」を命じるが、社員は基本的にこれに従わなければならないとされる。

社員は、企業から命じられた「職種」に就かなければならないのだ。

さらに、「単身赴任(家族と離れたところで働かせる)」や「出向(別の企業で働かせる)」といった、欧米の基準では人権侵害レベルの配置転換も、日本企業では珍しいものではない。

社員の「職務内容」や「働く場所」を柔軟に変更できる交換条件として、企業は雇用した社員を辞めさせることができず、勤続年数によって給料を上げ続けなければならない。

「日本型雇用」と呼ばれる「メンバーシップ型」の働き方には、このようなトレードオフが成立しているのだ。

  • 労働者は、会社が命じる「配置転換」に従わなければならないし、転職すると不利になりやすい
  • 企業は、労働者を簡単に辞めさせられず、勤続の長さに応じた給料を払わなければならない

 

「メンバーシップ型」は、「辞めにくい」労働者からしても、「辞めさせにくい」企業側からしても、理不尽に感じることの多い制度と言える。

だが、まったく理不尽なわけではなく、両者にメリットがある。

  • 労働者は、採用された企業で安心して働き続けることができる
  • 企業は、必要なところに必要な人材を配置することができる

「メンバーシップ型」は、それなりに合理性があるからこそ、かつては高く評価されてきたし、現在も継続している雇用・労働システムなのだ。

 

「ジョブ型」の働き方

職種の流動性が低い「ジョブ型」は、仕事を変えにくく、変えさせにくい。

「ジョブ型」は、「職務内容」を明確化して、そこに当てはまる人材を募集する。その際には「職務契約」が重視され、企業は事前の契約と異なる仕事を労働者に命じる権限を持たない。

「メンバーシップ型」のように、労働者の配置を柔軟に変更できない代わりに、契約していた「職務」がなくなった場合は、労働者の解雇が比較的容易だ。

人材の流動性が高い社会なので、解雇された労働者も、再び仕事を探すことはそれほど難しくない。「メンバーシップ型」と比べて「失業」しやすい社会でも、「再雇用」のハードルも低いので、「失業」は日本のように重いものではない。

職務に就くためには、専門性、資格、職務経験が要求されることが多いが、そのため、労働者にとって「職種」の変更はハードルが高い。

企業が職種を変更させる権限を持たないのと同時に、労働者も簡単にキャリアチェンジすることができない。

  • 労働者は、職種を変えにくい
  • 会社は、職種を変えさせにくい

 

「メンバーシップ型」社会の日本人の感覚と違って、「ジョブ型」社会では、「会社」のウェイトがそれほど高くない。

「ジョブ型」社会では、「会社」の外部にある「専門性」が影響力を持っている。

日本は「企業別労働組合」が多いのに対して、欧米は「職業別労働組合」が主流だ。

「会社」という枠組みではなく、個別の会社を超えた「職種(専門性)」の繋がりがあることで、「ジョブ型」が機能している。

「ジョブ型」の場合は、労働組合や大学などの「専門家団体」が、企業と対立する形で、労働者の権利や待遇を守る役割を果たしているのだ。

「ジョブ(職務)」能力を身につけるための訓練や資格の認定は、かつてはギルドなどの職業団体が担っていたが、現在は大学と大学院が担うことが多い。

  • 労働者は、大学などの訓練を通して、専門性を身につける
  • 「専門家団体」は、企業から労働者の待遇を守ろうとする

という形で、企業の外にある「専門性」が機能しているからこそ、「ジョブ型」の社会が可能になる。

このような形を日本も取り入れ、「メンバーシップ型」からの脱却を目指すべきという意見も多い。

しかし、のちの述べるが、「ジョブ型」にも欠点はある。「専門性を身につけるためのコスト」が、年代を経るほど上がっていて、それが格差の再生産を強固なものにしているのだ。

 

「メンバーシップ型」のキャリア

「メンバーシップ型」では、入社したあと、企業内の「OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)」によってキャリアアップしていく。

多くの大企業では、企業の様々な部署を巡って経験を積みながら、勤続年数によって出世していく。大きな差はつかないものの、働き方や成果などによって、最後まで出世する社員かどうか選別が、ゆっくり行われることが多い。

  • 指示・管理する仕事
  • 手続きをする仕事
  • 指示・管理される仕事

という区分けがあったとして、日本型雇用においては、新入社員は「作業労働」のような末端の仕事から始め、経験を積むほどに「管理職」へとキャリアアップしていくことが多い。

もちろんどのような職務を担うかはそれぞれの企業によって異なるが、「メンバーシップ型」においては、人材の流動性は低いが、職種の流動性は高い傾向がある。

 

「ジョブ型」のキャリア

「ジョブ型」は、「同一労働同一賃金」がコンセプトだ。そのため、同じ仕事をし続けても自動的に賃金が上がるわけではないし、企業の采配によって「職種」が変わることもない。

  • 指示・管理する仕事
  • 手続きをする仕事
  • 指示・管理される仕事

という区分けがあったとして、ただ長く働いても「職種」は変化しない。

「ジョブ型」社会の場合、キャリアアップしたいのであれば、大学に入り直すことになる。

日本は大学入学者の平均年齢が18歳なのに対し、OECD加盟国の平均は22歳だ。これは、入学時の平均年齢の低い日本は「企業の内部」に教育システムがある一方で、年齢の高い国ほど「企業の外部」に教育システムがあるということでもある。

「欧米人のほうが好奇心旺盛」というわけでは必ずしもなく、単に大学に入ることがキャリアアップに繋がる社会なのだ。

なお、「様々な部署をめぐって経験を積む」というキャリアは、実は日本独自のものではなく、欧米でも、管理職候補・幹部候補という「職種」のエリートは、様々な部署を経験する形でキャリアを積むことがある。

「メンバーシップ型」の「日本型雇用」は、ある意味では、全員を「管理職・幹部候補」として採用する仕組みと言える。(これについて詳しくは、「なぜ日本の管理職は無能なのか?女性比率が低い理由や欧米との違いを解説」を参考。)

 

「メンバーシップ型」の社会福祉

「年功序列賃金」の「メンバーシップ型」は、家族を養う立場の中高年が高い給料をもらいやすくなっている。ここには、「生活できるだけの給料」という「生活給」の発想がある。

「年功序列賃金」は、企業が労働者の忠義に報いるという発想の他に、「生活できるだけの給料を与えるべき」という社会的合意によるものでもある。

「メンバーシップ型」の日本では、「一家の大黒柱が高い給料を貰っている」という前提になっているので、政府の公的支援に対する社会的合意が成立しにくい。

日本も欧米にならって、「児童手当」や「教育無償化」などの政策が提案されてきたが、「家(年功制で高い賃金を貰っている親)がなんとかするべき」という批判が多く、進みが遅れている。

また、「社員が辞めない、会社が解雇しない」が前提の社会なので、不況・経済危機などの問題が起こったとき、政府は企業を支援して「雇い続けさせる」ことで、社会問題を減らそうとしてきた。

 

「ジョブ型」の社会福祉

「同一労働同一賃金」を原則として掲げる「ジョブ型」の社会は、「家族がいるかどうか」などの理由で賃金に差をつけるのは差別という発想になる。

養う家族のいる中高年だからといって、給料が高いわけではないので、育児や教育に対して、国が支援しようという発想に同意が得られやすい。

欧米は日本に比べて育児・教育関連の手当が充実しているが、これは「働き方の違い」という事情もある。

また、日本に比べて失業が多く発生する雇用システムでもあるので、「失業保険」や「生活保護」などの社会保障も、日本と比較してスティグマが少なく、受給しやすい環境にある。

 

「メンバーシップ型」の問題は?

「メンバーシップ型」は、企業の内部で人材を育成していく、優れた仕組みを持っているが、「新卒採用に失敗すると大きく不利になる」という問題がある。

「年功序列で昇進していく」という社会のレールから外れると逆転が難しくなる社会であり、「非正規雇用」の増加が深刻な社会問題になっている。

また、「年功序列で昇進していく」システムを維持するためには、新卒社員を新しく入社させ続けなければならない(企業を拡大し続けなければならない)が、高度経済成長期ならともかく、低成長期に「より多くの新卒社員を入れ続ける」ことは難しく、構造的な限界をむかえている。

 

「ジョブ型」の問題は?

「ジョブ型」は、企業の外部に「教育システム」があり、「大学入試」や「新卒採用」の時期に大きく左右される日本ほどには、重要な選別が行われる期間が限られていない。

しかしそれゆえに、「ジョブ型」社会では、待遇の良い仕事ほど、「修士号」や「博士号」といった、取得するのに長い期間と大きな労力を必要とする資格が求められるようになっていった。

「専門性を身につけるためのコスト」が上がっていくと、適正や優秀さとは関係なく、「教育コストを支払える家庭」と「支払えない家庭」との間に逆転しようのない格差が開き始め、「階層」が固定化される。

「ジョブ型」は、「メンバーシップ型」よりも、深刻な格差が生まれやすい構造になっているのだ。

 

「労働法」と現実とのギャップ問題

日本は「メンバーシップ型」の働き方だが、日本の労働法は「ジョブ型」である欧米を参考にして作られている。

そのため、法律の条文と、現実の働き方とのギャップが大きいようだ。

「日本型雇用」の働き方は、裁判所の判例による「判例法理」によって、実質的に効力を認められてきたし、のちにそれが法律として条文化されることが多かった。

例えば、「正社員の長期雇用が前提となっている働き方なので、企業は労働者を簡単に辞めさせてはいけない」というトレードオフの理屈は、「解雇権濫用法理」といって、「食塩製造事件判決(最高裁1975年4月25日判決)」で最高裁判所によって定式化され、2003年の「労働基準法改正」の際に法律として明文化された。

また、水町勇一郎『労働法入門』によると、労働法の法源として、日本は「就業規則」という会社が積み上げてきたルールが、他国よりも重視される傾向があると言う。

水町勇一郎『労働法入門』の要約と解説【1/3】

法の運用を見ても、日本は「会社」という枠組みを重視しているのだ。

なお、このような状況に対して、濱口桂一郎は、「法律を適用して制度を変える」という当たり前のことがうまくできない問題を指摘している。

 

「ジョブ型-メンバーシップ型」に対する批判

日本人の働き方について研究した名著に、小熊英二『日本社会のしくみ』がある。

小熊英二『日本社会のしくみ』第1章の要約と解説【日本社会の「三つの生き方」】

小熊英二氏は、濱口桂一郎氏の研究を引用した上で、「ジョブ型」と「メンバーシップ型」の主旨そのものは批判していないが、「職種のメンバーシップ」「企業のメンバーシップ」という説明の仕方をしている。

「ジョブ型」と「メンバーシップ型」は、どちらも「メンバーシップ型」であり、「職種」に対して「メンバーシップ」を感じているのが、濱口桂一郎氏の言う「ジョブ型」なのだ。

ここで言う「メンバーシップ」とは、単に「見知った仲間」という意味ではなく、社会的に構築された「想像の共同体」だ。

  • 「職種のメンバーシップ」は、直接会ったこともない人間に、「同じ職種」というだけでメンバーシップを感じるからこそ成り立つ
  • 「企業のメンバーシップ」は、直接会ったこともない人間に、「同じ企業」というだけでメンバーシップを感じるからこそ成り立つ

「同じ企業」といっても、日本の大企業となると、一度も顔を合わせたこともないような人が大半なので、「想像の共同体」なのだ。

「ジョブ型」「メンバーシップ型」は、わかりやすくて良い説明の仕方に思うが、「どちらもメンバーシップ型」という指摘も納得できる。

 

参考書籍

「ジョブ型」と「メンバーシップ型」のワードを提示した濱口桂一郎氏の著作として、一般向けの新書として発売されているものは

  • 『新しい労働社会』
  • 『日本の雇用と労働法』
  • 『日本の雇用と中高年』
  • 『若者と労働』
  • 『働く女子の運命』

になる。

 

なお、『若者と労働』『働く女子の運命』に関しては、当サイトで「要約と解説」を書いているので、よければ以下も参考にしていってほしい。

濱口桂一郎『若者と労働』の要約と解説① 濱口桂一郎『働く女子の運命』の要約と解説【1/2】

 

「ジョブ型-メンバーシップ型」まとめ

対比表を作ると、以下のようになる。

ジョブ型 メンバーシップ型
コンセプト 欠員補充 入社
採用方法 中途採用 新卒一括採用
職務契約 厳密 曖昧
給与 同一労働同一賃金 年功序列賃金
重要 資格と経験 総合的なコミット
労働組合 職業別 企業別
人材の流動性 高い 低い
職種の流動性 低い 高い
強み 専門性 柔軟性

 

ざっくり言うなら、ジョブ型は「良い職に就いているかどうかが重要な社会」であり、メンバーシップ型は「良い会社に所属しているかどうかが重要な社会」である。

ただ、ジョブ型にしてもメンバーシップ型にしても、20世紀に確立された枠組みであり、21世紀の現在には、限界を迎えつつある。

 

「ジョブ型-メンバーシップ型」の今後

日本社会で働いている人の多くが感じていることだが、メンバーシップ型(日本型雇用)の枠組みは、限界を迎えつつある。

「メンバーシップ型」は、「企業が存続し続けること」が前提の仕組みだ。だが、高度経済成長期ならまだしも、変化の激しい時代に、入社した企業がずっと存続していくことを前提にした雇用システムには無理があると、誰もが思うだろう。

ただ、「ジョブ型」も同じように限界を迎えている。

「ジョブ型」は、「その職務が存在し続けること」が前提の仕組みだ。仕事の枠組みが変化し続ける社会においては、「同一労働同一賃金」のような職務をベースにした枠組みも、「メンバーシップ型」と同じように、無理があるものになっている。

特定の資格や職務経験を得ても、テクノロジーの発展などによって、その職務が必要ないものになれば、ジョブ型の前提は崩壊してしまう。

日本では「メンバーシップ型」の「日本型雇用」が限界を迎えているが、欧米でも「ジョブ型」の「同一労働同一賃金」が同じように限界を迎えているのだ。

  • 「メンバーシップ型」は、「企業が存続し続けること」が前提だが、その会社が倒産してしまうと崩壊する
  • 「ジョブ型」は、「職務が存続し続けること」が前提だが、その仕事が必要なくなってしまうと崩壊する

「ジョブ型」「メンバーシップ型」ともに、新しい働き方への転換が求められている。

 

 

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