転職をしようと考えている人には、「転職サイト」と「転職エージェント」という主に2つの選択肢があり、どちらを使うのがいいか迷っている人も多いだろう。
今回は、「転職サイト」と「転職エージェント」を比較し、どちらを使うべきかを解説する。
目次
「転職サイト」と「転職エージェント」の違い
「転職したいと思っている人が企業を探すための手段」という点では、どちらも同じものだ。
ただ、「人の労力が介在するかどうか?」が、ふたつを分ける重要なポイントになる。
- 転職サイト……サイトのシステムによってマッチング
- 転職エージェント……エージェントが仲介してマッチング
転職エージェントは、エージェントさんの人件費がかかっている。
転職エージェントの場合、人件費がかかるぶんだけ、使うのにお金が必要と考える人もいるかもしれないが、実はどちらも完全に無料で使うことができる。
「転職サイト」も「転職エージェント」も、労働者を雇用しようとする企業側からお金をもらうビジネスモデルだからだ。
では、ふたつをどうやって使い分けるといいのだろうか?
それぞれ、メリットとデメリットを解説する。
「転職サイト」のメリットとデメリット
「楽」で「始めやすい」のが、「転職サイト」の特徴だ。
転職サイトは、自分の経歴や希望の職種などを登録すれば、それに最適な企業をマッチングして表示される仕組みのものがほとんどだが、基本的には、求人票を眺めるような感じで使うことができる。
情報を取得するための目的で使うことが可能で、検索エンジンなどから探すよりも効率的だ。
転職サイトから転職したい場合、(オファーが来る形式のものもあるが、)基本的には、出されている求人に、自分から連絡することになる。
転職サイトのメリット
- 情報を得る目的のみで使えるので心理的に楽
- 時間や日程の自由度が高い
- すぐ転職する意思がなくても使いやすい
転職サイトのデメリット
- 自分で情報を取得して、自分で申し込みをする必要がある
- 強制力がないので本気になりにくい
転職サイトは、良くも悪くも、気軽に始めることができる。「転職したいかどうかわからないけど興味はある」「自分の市場価値を意識して働きたい」といった感じで、とりあえずの情報取得のためにも使いやすいのが「転職サイト」だ。
「転職エージェント」のメリットとデメリット
転職エージェントは、人ががっつりサポートしてくれる。
サイトに登録すると、経歴など応じて、その分野が得意なエージェントが紹介されて(自分から選べる場合もある)、通話やWEB通話によって面談をする、というのが基本的な流れになる。
転職エージェントは、担当した人の転職が決まったときに手数料が入るビジネスモデルだ。「待遇の良い企業に入社」という利害が一致しているので、無料にもかかわらず、しっかりとしたサポートが得られる。
ただ、「転職が決まれば報酬が確定する」という以上、悪質なエージェントの場合は、企業の労働条件や求職者の能力を偽ってでも、とにかく転職をさせようとしてくる場合がある。
転職エージェントを使う上で重要なのは、自分の条件を妥協せずにしっかり出すことだろう。
「転職サイト」と違って、「転職エージェント」の場合は、転職したいという意思がある程度はっきりあるのが前提になる。
転職サイトのメリット
- より良い待遇を実現するためのキャリアパートナーを無料で得られる
- 調査や条件のすり合わせなど、面倒な手続きをやってもらえる
- 職務経歴書や面接対策など、具体的なアドバイスをしてもらえる
- 人と面談などをこなすことによって、客観性を得られ、モチベーションを維持しやすくなる
転職サイトのデメリット
- 人と話す手間や予定をすり合わせる煩わしさなどがある
- 転職することが前提で話が進む
転職したいという意思が強いのであれば、億劫がらずに、転職エージェントに登録してみるといいだろう。
もちろん、エージェントに相談したからといって転職が強制されるわけではなく、良い条件が見つからなければ断っても問題ないし、複数のエージェントに頼ることもできる。
ただ、人と会話をして条件をすり合わせたりすることはそれなりに疲れるので、「転職サイト」と比べて、心理的なハードルは高いだろう。
本音の部分を比較検討!「転職サイト」と「転職エージェント」のどちらを使うべきか?
サービスを使おうとする求職者が本音で気になることとして、「エージェントを使うと、手数料のぶんだけ不利になるのでは?」というのがある。
つまり、同じ企業に同じ条件で応募する場合、自分の年収に「転職エージェント」の報酬が上乗せされるのであれば、エージェントを介さない「転職サイト」のほうが企業側としてはありがたいのではないか、という話だ。
これに関しては、状況による。
企業側としては
- 「転職サイト」に掲載料を支払って人材を募集
- 「転職エージェント」に仲介料を支払って人材を募集
という選択肢がある。
企業がどちらを選ぶかは、その企業によるとしか言いようがない。
ただ、「まったく同じスペックの人間が、同じ待遇で同じ職に応募してきた」と仮定しよう。その場合、サイトの求人を見てきた場合と、エージェントを通して来てくれた場合とを比較して、「エージェントを介さないほうが安く雇える」となるのは、ありえない話ではない。
同じ企業を同じ条件で受けるならば、手数料がかかるエージェントを介すよりも、自分で直接申し込むほうが採用されやすくなるというケースはあり得る。
ただ、転職エージェントを使うからといって不利になるわけではない。
「転職サイト」だって掲載料は安くないし、「漠然と広告を乗っけるくらいならば、仲介手数料を支払って確実に採用したい」と、エージェントの紹介を好む企業は多い。
よくある転職エージェントの売り文句に、「求人広告には掲載しないような企業を紹介できます」というのがあるが、そのような非公開求人の企業は、サイトに広告費を支払うよりも、最初からエージェントの紹介に頼るほうがコストパフォーマンスが良いと考えているのだ。
転職サイトにしろ、転職エージェントにしろ、どちらのやり方でも雇用にはお金がかかるものなので、企業側はそれを折り込み済みで人材を雇おうとする。
求職者側からすれば、変に企業側の事情を考えるよりも、単純に自分の年収や待遇を上げることを考えたほうがいいだろう。
「転職サイト」と「転職エージェント」は、両方を同時に使ってもいいし、両方使う人も多い。
どちらも企業側からすれば合理的な雇用方法であり、求人者側からして「どちらを使ったほうが有利か?」というのも、状況による。
- 転職の意思がまだそれほど硬いわけではないなら「転職サイト」
- 転職の意思が固く本気でやるつもりがあるなら「転職エージェント」
- 自分で情報を調べて自主的に申し込むのが楽と感じるなら「転職サイト」
- パートナーとコミュニケーションをとりながら進めていくのが楽と感じるなら「転職エージェント」
という使い分けの基準で問題ないだろう。
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